工務店を選ぶ基準-後編

auieの新人プランナー大谷です。
前回に引き続き、弊社の設計顧問のDEMU建築設計事務所 出村さんにお聞きします。
今回も、工務店を選ぶ基準の続きです。

出村:大谷さん、前回のUA値について、ちゃんと覚えていますよね?今回は気密ですが、これはC値で表されます。床面積1㎡あたりどれだけ隙間があるかを表す数値ですね。最低でも1.0 cm2/㎡、できれば0.5cm2/㎡以下は欲しい所です。
大谷:はい。UA値は熱の逃げやすさを表す数値です。今回は隙間があるかを表す数値ですね。

出村:はい。0.5cm2/㎡というのは、例えば35坪程度の家だとすると、かなりざっくりですが、家全体で名刺一枚分くらいの隙間があるという事になります。
C値が1.0以上だと床や天井面など上下の温度差も出やすいし換気も計画的に行いにくいです。そもそも換気メーカーの推奨値をクリアできない場合もあります。

大谷:C値もシミュレーションで出してもらえるものですか?

出村:いいえ、C値はシミュレーションでは出ません。実際に建築中に測定します。
「うちは測定しなくてもしっかりやりますから大丈夫ですよ」などと言う施工者はそもそも気密(ひいては断熱)に対する意識が低い事が多いですね。

大谷:つまり自分が建てる家でC値を測定してくれる事が大事なんですね。

出村:はい。C値測定してくれる施工者は気密に対する意識が高いですし、測定結果も教えてもらえるので、実際どれくれくらいの隙間が空いているか具体的に分かります。

大谷:C値測定をやってくれるかぐらいなら、私でも確認できそうですね。他にも工務店を選ぶ基準はありますか?

出村:ずばりサッシュですね。

大谷:サッシュ?窓の事ですね。窓って重要なんでしょうか?判断基準にならないと思っていましたが。

出村:いや、むちゃくちゃ重要ですよ!
性能にもよりますが、住宅から逃げていく熱の半分以上は窓からなので、断熱性能で言えば窓が一番の弱点です。弱点だからこそ窓を強化すれば効果がとても高いです。これはとても需要な要素で、そこを軽視する人は、快適性はもちろんコスト面・健康面で大きな損をすることになります。
しかし、当然ですが性能が良くなるほど、値段も高価になるので費用対効果を見極めるのが大事ですかね。

大谷:見極めが大事なのは分かりますが、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
素人に優しく商品名で教えてもらえますか?

出村:そうですね。YKKでしたらAPW330(樹脂スペーサー仕様)、LIXILでしたらエルスターSあたりが最低ラインですね。
いわゆる樹脂窓というやつです。もちろん例外もありますが。
あと、上記はペアガラスの窓ですが、もちろんトリプルガラスの方が高性能です。が、コストも高いので予算があればおすすめします。

大谷:樹脂窓って、枠部分が樹脂でできてる窓のことですか?なぜ樹脂窓なんでしょうか?

出村:上記で挙げた樹脂窓であれば、熱が逃げにくい事ももちろんですが、冬季で言えば快適な温湿度でも殆ど結露しないからです。

大谷:でも、最近温暖化ですし、あまり結露しないんじゃないですか? 実際にハウスメーカーなどのモデルハウスで結露なんてないですし。

出村:では何故モデルハウスは結露しないのでしょう?
あれはモデルハウスが乾燥しているからです。実際、湿度20%台なんてよくあります。だから、冬季にモデルハウスを快適な環境(湿度40~50%台)にしたら結露する可能性は大です。
モデルハウスでは、料理や洗濯もしないですから、基本的に過乾燥状態になりやすいんですね。
大谷さんの家も、エアコン暖房で、加湿器も使ってないなら、モデルハウスまでとはいかなくても、かなり乾燥してると思いますよ。
ちなみに、高性能サッシュでも加湿しすぎれば結露します。

大谷:私の自宅が結露しないのは、乾燥している可能性があるのですね。湿度を計ってみたいと思います。

出村:お肌が乾燥しやすい状況になっているかもしれませんね。
では、次回は換気について話していきましょう。

大谷:また次回もよろしくお願いいたします。



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