auie新人プランナーの大谷です。
今回も、DEMU建築設計事務所の出村さんにお話しを伺っていきたいと思います。
今回も、DEMU建築設計事務所の出村さんにお話しを伺っていきたいと思います。
「工務店を選ぶ基準_前編」で、家庭用エアコン一台で冷暖房ができるとお話がありました。
個人的にも気になりますので、今回は「エアコンについて」お話を伺っていきたいと思い
個人的にも気になりますので、今回は「エアコンについて」お話を伺っていきたいと思い
ます。
大谷:そもそも暖房機器はエアコン以外にもありますが、他の選択肢はないのでしょうか?
例えば、私の家はエアコン暖房ですが、すごく寒いです。石油ストーブを使うと暖かくなるのかなと思いますが、どうなんでしょうか?
例えば、私の家はエアコン暖房ですが、すごく寒いです。石油ストーブを使うと暖かくなるのかなと思いますが、どうなんでしょうか?
出村:エアコン一台で冷暖房ができるというのは、高断熱高気密の35坪程度の住宅というのが前提です。具体的には「工務店を選ぶ基準_前編」「同後編」のUA値やC値をクリアしている住宅です。だから、断熱気密の低い住宅だと当然寒いです。石油ストーブは吹出し温度が高いので、近くにいれば暖かさは感じやすいのですが、二酸化炭素濃度は、あっという間に2000ppm以上に上がりますし、灯油の買い出しや補給する手間もかかります。光熱費もエアコンよりも高くなります。
大谷:高断熱高気密という条件ですね。
出村:はい。そもそもエアコンは石油ストーブ等の他の暖房機器と比べて高効率ですし、冷房用に必ず必要なものなので、暖房用に別途準備する必要もないですね。後は輻射冷暖房機器も冷暖房兼用の機器ではありますが、高額なのと、近くにいないと輻射効果が極端に落ちるので第一候補からは外れるでしょうか。ただ、輻射熱のじんわりした暖かさや、ひんやりした涼しさは快適であることには間違いないです。暖房だけなら薪ストーブ等もそうですよね。費用対効果は決して高いとは言えないですが、予算や趣味性が合えば輻射冷暖房機器でもいいと思います。
大谷:弊社のスタジオにも、ペレットストーブがあります。あの優しい火をみると、落ち着きます。部屋を暖めるアイテムというよりは、癒してくれるくつろぎのアイテムですね。
出村:先程、エアコンの効率の話をしましたが、エアコンの効率を示す指標が「APF」です。大谷さんAPFとは何でしょうか?
大谷:APF…。以前、お聞きした記憶がありますが、はっきりとは…。
出村:APF=通年エネルギー消費効率のことで、エアコンのカタログに記載があります。
大谷:あ、思い出しました。数値が高いほど運転効率がいいという事でしたよね。
出村:↓はダイキンのカタログの仕様です。右下にあるのがAPF(通年エネルギー消費効率)です。
※カタログ
大谷:7.2とありますね。
出村:はい。これは車でいうと燃費のようなものなので、エアコン購入時には確認してほしい項目ですね。APFとは「冷暖房期間で発揮した能力」÷「同期間の消費電力」です。つまり上記エアコンの場合、消費電力1kWhあたりの冷暖房能力が7.2kWhという事になります。ということは?
大谷:えーと…1のエネルギーを使うと、7.2倍になってかえってくるということですか!?
出村:まぁ、実際には条件がより厳しい事が殆どなので、そこまでは高くありません。暖房だと福井では2~3程度でしょうか。
大谷:随分と落ちますね。
出村:でも2~3倍でもすごいですよ。ストーブ等は1倍ですからね。それに適切な機器選定をしてやればという条件付ですが、冷房に関してはかなりカタログ値に近くなります。
大谷:適切な機器選定をしてやれば?
出村:大谷さんはエアコンの容量を選ぶとき何を基準にしますか?
大谷:カタログの畳数の目安を参考にします。
出村:メーカーや家電量販店にとっては良いお客さんですね。カタログの畳数の目安は昔からずっと変わってなくて、無断熱住宅の場合の目安なんです。つまり、昔の断熱材も入っていなくて、単板ガラスのアルミサッシュの住宅等は、カタログ値を素直に参考にしても良いと思いますが。
出村:高断熱高気密の住宅ではむちゃくちゃ過剰な目安なので、もっともっと小さくても構いません。住宅性能や規模にもよりますが、2.2kW(所謂6畳用)エアコンで事足りる場合もよくあります。
大谷:そんな小さなエアコンで暖かくなるのでしょうか?もし、暖まらなかったら嫌なので、大きい容量にするというのはありでしょうか?
出村:なしです。先ほど適切な機器選定と言ったのは、大きすぎても駄目という事です。車でいうと、大排気量の車で、一速(AT車でいうとL)ですごく燃費の悪い運転をしているようなものです。つまりエアコン購入時のイニシャルコストも、ランニングコストも高くなるんです。あと、あまり知られてませんが能力過剰だと冷房時の除湿能力も落ちます。
大谷:エアコンに限っては、大は小を兼ねないということですね。適切な選定は私には分かりませんが、電気屋さんに聞けば分かるのでしょうか?
出村:電気屋さんは住宅の断熱性能は分からないですよね。薄々感じているとは思いますが、それが分かるのは誰でしょうか?
大谷:建築士や施工者ですね。
出村:はい。正解です。なので、住宅の性能にあったエアコンをシミュレーションによって選定する必要があります。だからエアコンは、家電というより建築設備になるんですね。
大谷:そういう事ですね。先日、出村さんが施主様にお引渡しさせていただいたお家でも、エアコンが設置されており夏期・冬期時のエアコンの運転の仕方までお話がありました。このお話や現場をみていると、やはりエアコンは建築設備だと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
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